医療現場には、看護師の上司として看護部長という地位があり、その下には看護師長という役職に就く者がいます。さらに、現場には看護主任がいます。看護師長は、実務経験が15年以上のベテラン看護師が務めると言われています。看護師長は医療現場の実情を的確に把握し、不都合があれば直ちに改善する義務を負います。現場の看護師が行うケアをサポートし、実務経験の少ない看護師を育てる立場としてやり甲斐を感じることができるでしょう。

患者の不満があれば担当看護師と患者の間に立って関係を改善し、患者同士のいざこざや医師と看護師の意思疎通に問題があった場合にも対応します。こうした人間関係のトラブルの解決を図るためには、上司や部下と信頼関係を築ける高度のコミュニケーションスキルを身につけなければなりません。また、看護主任の声を聴いて経営に携わる看護部長への橋渡しをする役割を担います。看護師長にとって上司の看護部長を動かし、現場の改善が進むような交渉スキルが求められるのです。

そして、医療事故を防止するため、看護師長は医療器具および薬剤の扱い方にも注意し、必要な場合にはインシデントレポートに基づいて現場の看護師の意識を向上させる努力をしなければなりません。インシデントレポートとは、いわゆるヒヤリハットと呼ばれるもので、医療事故に至らない事象が起こった際にその後の事故に繋がらないよう情報を共有するため作成される報告書のことです。このように、看護師長は現場の看護師たちの職場環境を改善するため活躍できる立場にあり、看護師の待遇改善に貢献できるというやり甲斐があると言えるでしょう。